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ただそこにはちがう景色があるだけだ

この週末には高校時代の懐かしい三人の顔が集まる。毎回同級生の中から今年会いたいゲストをひとりふたり迎えながら毎年この時期には泊まりがけで同じく同級生がやっているホテルの一室に集まって静かに酒を飲む事になる。先公の野郎生意気だということだけで白紙のまま提出した答案用紙の話はきっとまたいつものように再開するし、学校を抜け出して三里塚闘争へ向かった話や、隆明の講演を聴きたいばっかりに公安の目をかいくぐり新聞紙にくるまって眠った初めての日比谷公園の話など学校とは全く縁のないところで生きていたそれぞれの話もまた。
さて、そんなタイミングで久々にリエちゃんの銘コピーを披露。何年もシリーズで作っているとある北国の酒蔵のカレンダー用新作。


いつかの道、これからの景色。

たまに故郷に帰省すると、
駅のまわりの、市街地の変化に驚くことが暫しある。
昔馴染みの店が跡形もなくなっているなんてことはめずらしくなく、
区画整理などにあい、学校を急ぐとき使った抜け道や、
好きだった辻などが、ごっそりなくなって、
場所さえわからないなんてことさえもある。
そんなとき、いわゆる老舗とよばれる甘味処が、
昔のままに残っているのを見つけたりすると
たいして通った店でもないのに、
ついつい普段食べないかき氷などを食べながら、
訳知り顔で長居してしまう。

郊外にある生家のまわりは、
少しは変らねば限界集落になるぞと危惧する程、
昔と何もかわらない。
自転車で通った河川敷の道、兎を追いかけて夢中になり、
兄を見失って泣いた裏山、
近所の小さな商店はあいもかわらず細々と店を開いている。
日本の田舎の緑や自然は手付かずのものではない。
耕された畑の土の色、手をかけ育つ稲の緑、
下草刈りや枝払いで守られてきた山、鎮守の杜...。
みな誰かがずっと受け継ぎ、地道に守ってきたものだ。

日々変らなければおいていかれる都会の道を
高速でひた走ってきたものもいれば、
変らぬ道を変らぬ速度で歩み続け、何かを守り続けるものもいる。
道には良い悪いはない、ただそこにはちがう景色があるだけだ。

久々の帰省の休日は、
他の景色も見てみたかったと日がな一日白昼夢を漂い、
夕方になると、自分の道もそれほど悪くはなかったと、
どこか胸にストンと落ちる。
宵の頃には笑みさえ浮かべて、
昔から馴染んだ変らぬ酒で、心地よく酔っている。

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