気がつくと音楽を聴くことができなくなっていた。最後にiPodへ入れた曲は「おもいでのアルバム」の伴奏で、ぼくたちは何度もうたいながらシェラとさよならをした。その日からiPodにイヤホンを通すこともなくiPodはひたすらデータの運搬だけに使われ、時折iPodを手に取るとたまらなく心が痛んだ。イヤホンを耳に通した時に静かになるのが怖かったから音楽はもう一生聴けないのではないかとどこかで思う自分がいた。そして、先月検査のための病院で6時間何もしない時間があるというので音楽ではなく講演なら大丈夫なのかと吉本隆明の講演を入れて聴くことにし、検査当日iPodに数ヶ月ぶりにイヤホンを差し込み耳に持ってこようとした時iPodがなぜか手から離れふわりとスリッパの上に落ちた。今までも落とす事はあったし静かに落ちたので気にせず拾い上げイヤホンを耳に当てたけれど何も聞こえてこない。コネクタをねじるとかすかにかすれて聞こえてきたがそれも一瞬だった。そう、6年間使っていた iPodが、壊れた。毎朝カーラジオにつなげMACにも日に幾度となく差したり抜いたりして過酷に使っていた傷だらけでボロボロになっていたiPod。バッテリーは三年前に一度交換したがそれでもせいぜい持って2時間だった。東京に出張する時は電車片道分もバッテリーは持たなかった初代iPod。どこに行くにもぜったい離さなかったiPod。「おもいでのアルバム」を最後に流してiPodも消えてしまった。
ではtouchを。と考えたけど即却下。理由はHDのようなデバイスとしての機能ができなくなってしまった。と言うことに尽きる。ゲームデバイスとミュージックデバイスだけのiPodなんてiPodじゃない。ゲームなんて全くやらないしそんなヒマないし。こんなんでチマチマとメールを打つ女学生じゃあるまいし


